商標登録の重要性
企業経営者の中には、商標を登録し、権利を振り回すようなやり方は邪道であり、本業で正々堂々と競争すればよいと考えている方もおられることでしょう。このような経営者にとって、商標登録とは、自己中心的で、好戦的で、姑息な手段であり、ビジネスを通じて何らかの社会貢献を行おうとする企業理念に反するものと理解しておられるかもしれません。
このような経営者には、商標の重要性について、もう少し理解していただく必要があります。商標登録は、本業で正々堂々と競争できる土俵を確保するのに必要な手段であり、自社の商標を登録しておかなければ、市場で正々堂々と競争することができないかもしれないのです。
企業にとって商標登録がなぜ重要であるのかについて、以下の4つの視点からご説明したいと思います。
なぜ商標登録する必要があるのか
1.自社の利益を守るため
他人が、自社の商標又はそれと紛らわしい商標を使用すれば、需要者は、他人の商品を自社の商品と誤って購入することになります。このとき、他人は、自社の信用にただ乗り(フリーライド)していることになります。このような行為により、本来得られるはずであった自社の利益が他社に奪われてしまいます。
商標登録しておけば、正当な自社の利益を守ることができます。
2.自社の信用を守るため
模倣商品は、品質の悪い粗悪品であるというのが世の常であり、このような粗悪品が、自社の商標やそれと紛らわしい商標を付して流通されたならば、商標に蓄積されていた自社の信用はたちまち失われ、回復し難い被害を被ることになります。
商標登録しておけば、自社の信用を守ることができます。
3.自社の顧客を守るため
紛らわしい商標を付した他社の商品が流通すれば、自社の顧客は、誤って他社の商品を購入してしまい、期待していた商品を購入することができなくなります。つまり、自社の顧客が期待を裏切られ、損害を被ることになります。
商標登録しておけば、自社の顧客を守ることができます。
4.安心して商標を使用するため
自社の商標について、万一、他人が先に商標登録を受けたとすれば、自社はその商標を使用できなくなります。商標法は、先に出願した者が商標登録を受けることができるという先願主義を採用しています。このため、自社が先に使用を開始した商標であっても、他人が先の商標登録を受けたならば、その使用をやめなければなりません。
このような事態を回避する必要方法はとても簡単です。自社が先に商標登録しておけばよいのです。そうすれば、他人に対して権利を主張するか否かにかかわらず、その商標を安心して使用し続けることができます。
商標登録しておけば、安心して商標を使用し続けることができます。