商標登録できない商標
商標登録できない商標は、大きく分けて商標登録してしまうと社会全体に問題があるという公益的見地からの理由と商標登録してしまうと困る人がいるという私益的見地からの理由とがあります。その中で代表的な例についてご説明します。
識別力のない商標
商標の本質は、一般需要者や取引者が商品又は役務(サービス)を選択する際の目印です。識別力のない商標とは、このような目印として機能し得ない商標であることをいい、このような商標は商標登録を受けることができません。例えば、次のような商標は登録を受けることができません。
- 普通名称のみからなる商標 具体例:「りんご」(指定商品「りんご」)
- 品質、原材料等の表示のみからなる商標 具体例:「芋」(指定商品「焼酎」)
- ありふれた氏や名称を普通に表示した商標 具体例:「佐藤」
- 2文字以下のアルファベットのみからなる商標 具体例:「OK」
他人の登録商標と類似する商標
他人の登録商標と類似する商標が登録されてしまうと、その商標を使用することにより出所の混同が起こってしまうため、そのような商標は登録されません。指定商品又は指定役務が同一又は類似であって、商標も同一又は類似である場合、両者は類似する関係にあることになります。
品質誤認を生ずるおそれのある商標
例えば、指定役務を「飲食物の提供」として「フランスライン」という商標を出願した場合、品質誤認を生ずるおそれのある商標であるとして、登録されません。なぜなら、「フランスライン」という看板を見た一般需要者は、その店ではフランス料理が食べられると期待するのに対して、実際そのお店ではフランス料理は出していないといったことが起こると問題となるためです。
日本又は外国で周知となっている他人の商標と類似する商標
日本で商標登録されていなくても、既に日本又は外国で周知となっている商標と類似する商標を出願した場合、他人の商標の信用にただ乗りしているなどの不正の目的があるとして、商標登録を受けることができません。
著名な歴史上の人物を含む商標
著名な歴史上の人物を含む商標は、顧客顧客吸引力を有するものであり、そのような商標を1個人が独占することは公正な取引秩序を乱し、公序良俗を害するおそれがあるとして商標登録を受けることができません。
他人の氏名、著名な芸名等を含む商標
他人の氏名、著名な芸名や筆名等を含む商標は、人格権保護の見地から、商標登録を受けることができません。ただし、本人から商標登録することについて承諾を得ていれば商標登録を受けることができます。