商標登録の手続きの流れ
出願から商標登録までの手続の流れは、次のとおりです。
商標登録出願
商標登録を受けるためには、まず商標登録出願を行う必要があります。商標登録出願とは、登録したい商標、指定商品又は指定役務、出願人の氏名及び住所等の情報を記載した願書を特許庁に提出することです。提出先は千代田区虎ノ門にある特許庁の受付窓口ですが、郵送やオンラインで提出することもできます。不備がなければ、提出した願書が受理され、特許庁の審査官による審査が行われます。
商標登録出願を行ってから1回目の審査結果が通知されるまでの期間は約半年です。審査官は1日に数件の出願を審査するといわれており、約半年という期間は審査に必要な期間ではなく、審査の順番待ちをしている期間です。早期審査制度を利用すれば、この順番待ちの行列を一気に飛び越えて、優先的に審査を受けることができます。
拒絶理由通知
商標法は、商標登録を受けることができない理由として、30種類程度の拒絶理由を規定しています。これらの理由は拒絶理由と呼ばれ、商標登録出願が拒絶理由に該当していないかを特許庁の審査官が審査します。
登録できない商標
その結果、いずれかの拒絶理由に該当すると判断された場合、その拒絶理由が通知されます。拒絶理由通知書を受領した場合、そこに記載されている拒絶理由を解消するための適切な手続きを行う必要があります。この手続きは、審査官が指定した期間内に行う必要があり、通常は拒絶理由通知の発送日から40日です。
意見書・補正書の提出
拒絶理由通知に記載された拒絶理由を解消するために行う手続きです。具体的には、審査官の判断に真っ向から反論する場合や審査官の判断は妥当として権利範囲を減縮する場合に行う手続きです。審査官がこれらの手続きの内容を受けて再度、拒絶理由が解消するかどうかについて審査を行います。
登録査定
特許庁の審査官が審査した結果、いずれの拒絶理由にも該当しないと判断された場合には登録査定が送達されます。登録査定とは、登録可能であるという特許庁の最終判断であり、その後に登録料を納付すれば商標登録され、商標権が発生します。
登録料の納付
拒絶査定
拒絶理由通知に対して何も手続きを行わなかった場合や意見書による反論等の手続きを行ったが拒絶理由が解消しないと判断された場合は、拒絶査定が送達されます。拒絶査定が送達された場合であっても、商標登録の途が閉ざされたわけではありません。拒絶査定が送達されてから3ヶ月が経過すると拒絶査定が確定してしまいますが、それまでに審判請求を行い、更なる審理を求めることによって商標登録が認められる場合があります。
審判請求
拒絶理由通知が送達されてから3ヶ月以内であれば、拒絶査定不服審判を請求することができます。商標登録の審査は1名の審査官のみが行っているため、審査官による判断のばらつきがあります。これに対し、拒絶査定不服審判では、3名の審査官が審理するため、より適切な審査結果を得ることができます。審査段階で認められなかった主張が審判段階では認められ、登録査定されるケースはしばしばあります。
取消訴訟
審判官の審理の結果、拒絶査定が妥当であると判断された場合、その判断に不服があるのであれば、審決取消訴訟を東京高等裁判所(地財高裁)に提起することができ、裁判所の判断を仰ぐことができます。